仮想通貨(暗号資産)投資で押さえておきたい経済指標について解説
仮想通貨(暗号資産)投資において知っておいたほうがよい経済指標について解説します。
なぜ経済指標に注目する必要があるのか
経済指標に注目しなくてはいけない理由は、経済指標が仮想通貨のマーケットに大きな影響を及ぼし、世界中の投資家から注目されているからです。
仮想通貨に関する ファンダメンタル分析 や テクニカル分析 より、経済動向の影響のほうがマーケットに及ぼす影響は大きいので、経済指標に関する情報は抑えておくようにしましょう。
注目すべき経済指標とは
日本の経済指標ではなく、米国の経済指標をチェックするようにしましょう。
仮想通貨は世界的に投資対象になっており、2022年時点では日本の保有量は決して多いものではありません。
一方、米国はGDPが世界第1位の経済大国であり、米国の経済動向は世界全体に影響します。
また、仮想通貨の値動きは米国株指数に連動することもありますので、まずは米国の経済指標を抑えておきましょう。
仮想通貨(暗号資産)の金融商品としての位置づけ
ビットコインの発行上限が決まっていることから、ビットコインなどは「金」のような安全資産としてインフレヘッジなどの役割が期待されていました。
しかし現状では、仮想通貨は価格変動も大きく景気が悪くなると真っ先に売られるようなリスクオフ資産になっています。
そのため、経済状況が良くなれば仮想通貨は値上がりし、経済状況が悪くなると仮想通貨は値下がりする傾向がある金融資産となっています。
経済指標の相関関係
主に注目すべき経済指標は、単純化すると「景気」「金利」「物価」の三つになり、仮想通貨の価格と以下のような関係を示す傾向があります。
- 景気:景気が良い場合は余剰資金が市場に流れ込むので仮想通貨は値上がりする
- 金利:金利が上がると市場に流れ込む資金が減るため仮想通貨は値下がりする
- 物価:物価が上がると金利も上がるため仮想通貨は値下がりする
各指標と仮想通貨の価格が必ず相関するわけではなく、いくつかの指標の相互関係等により状況は変わりますが、大まかな状況を把握するための参考にしてください。
米国の主な経済指標
ジャンル | 経済指標 |
雇用 | 米国雇用統計 ★ |
ADP雇用統計 | |
金融政策 | FOMC議事録 ★ |
フェデラル・ファンド金利 ★ | |
景気 | GDP (国内総生産) ★ |
ISM製造業景況指数 ★ | |
貿易 | 貿易収支 |
物価 | CPI (消費者物価指数) ★ |
消費 | 小売売上高 |
PCE (個人消費支出) | |
CCI (消費者信頼感指数) | |
製造業 | 鉱工業生産指数 |
住宅 | 住宅着工件数 |
中古住宅販売件数 |
※「★」特に注目すべき指数
雇用
雇用状況が予想以上の結果となると、仮想通貨や株、ドルなどの価格が上昇し、反対に予想を下回る結果となった場合、仮想通貨や株、ドル価格などが下落する傾向があります。
米国雇用統計
米国労働省から発表される雇用情勢を表す最も注目度の高い経済指標で、 FRB の参考指標の一つになります。
中でも非農業部門雇用者数、失業率、時間上がりの賃金などは注目される数字となります。
ADP雇用統計
米国の給与計算代行サービス大手のオートマティック・データ・プロセッシング(ADP)社のデータを利用して、全米の非農業部門雇用者数の予測をする統計です。
米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の予測値として使われますが、ADP雇用統計の結果と米国雇用統計の結果はずれることもあります。
金融政策
FOMC声明/議事録
FOMC は米国の金融政策を決定する会合で、主に金融政策の変更や経済状況、経済見通しなどを議論されます。
FOMC終了直後にFOMC声明が公表され、FOMCから3週間後にFOMC議事録が公表されます。
声明では景気や物価、金融政策に関する判断が公表され、議事録では声明で公表した内容の判断に至るまでの議論が記録され、より詳細な情報を得ることができます。
フェデラル・ファンド金利(FF金利)
FOMC 会合で決定する誘導目標金利です。
誘導目標金利は、米国の政策金利( 短期金利 )にあたり、景気動向に応じて調整されるため、多くの投資家の注目を集めます。
景気
GDP(国内総生産)
米国のGDPは「速報値」「改定値」「確報値」の順で発表され、中でも特に速報値の発表タイミングで市場が大きく動くことが大きいです。
ISM製造業景況指数
全米供給管理協会(ISM)が実施する、購買に関する景況指数です。
景況感を0~100で表し、50以上で景況感が良い、50以下だと悪いと判断します。
貿易
貿易収支
米商務省が発表する、米国からの輸出と、米国への輸入の差額のことです。
輸出額が輸入額を上回ると貿易黒字でGDPが押し上げられ、反対に輸入額が輸出額を上回れば貿易赤字となりGDPが押し下げられます。
物価
CPI (消費者物価指数)
消費者が購入するものやサービスの価格変動を表す指標で、インフレ状況を把握する際に最も重要な指標です。
通常、物価上昇に過熱感があると中央銀行は利上げを行い、物価が下落する局面では利下げする傾向があります。
消費
小売売上高
米国商務省が百貨店や総合スーパーの売上のサンプル調査を基に発表する指標です。
米国の個人消費はGDPの約70%を占めていることから、景気の予想するための重要な指標として注目されています。
PCE (個人消費支出)
米国商務省が発表する、個人所得と個人消費について調査した景気関連の経済指標です。
また、PCE デフレーター は、消費段階での物価上昇圧力を測るために用いられ、PCEデフレーターから価格変動が激しい食品とエネルギーを除いたPCEコアデフレーターは、FRBが最も重視している物価指標とされています。
CCI(消費者信頼感指数)
米国の民間経済研究所であるコンファレンスボード(全米産業審議委員会)が発表するものが代表的で、消費者マインドをアンケートで調査して指数化した景気関連の経済指標です。
一般的に個人消費やGDPとの相関性が高いので、これらの先行指標として注目されています。
製造業
鉱工業生産指数
鉱業や製造業の生産活動を指数化したものです。
基準年(米国:2012年)を100として算出し、そこからの水準の推移によって生産動向を把握することで景気の動向を判断する有力な経済指標の1つになります。
住宅
住宅着工件数
米商務省が公表しているひと月に建設された新築住宅戸数に関する指標です。
季節ごとのばらつきが大きいため、調整をかけたうえで年率換算して発表されます。
住宅の建設に伴って家具・家電などの耐久消費財が購入されることが多く、個人消費への波及効果が大きいため、景気動向の先行指標として用いられています。
中古住宅販売件数
全米不動産業者協会(NAR)が発表するひと月に販売された集合住宅を含む中古住宅のうち、所有権移転が完了した販売件数です。
住宅着工件数同様、調整をかけて年率換算して発表され、個人消費などの景気動向の先行指標として注目されています。
一般的に米国の不動産市場では中古住宅販売のほうが新築住宅販売より規模より大きいため、中古住宅販売件数は先行指標としてより注目される傾向にあります。